人が輝く 地球が光る

文化の街づくり事例集

はじめに

物質から精神的豊かさという今日の時代の流れの中で、文化を視点に取り入れ、地域性や個性を生かしたまちづくりが積極的に進められております。文化を生かしたまちづくりを進めるためには、市町村への地域文化に関しての情報提供や意識啓発、文化団体・住民等への情報捉供を行うことが必要と考えています。このため、道内各地で積極的に取り組まれている事例を紹介する「文化のまちづくり事例集」を北海道環境生活部文化・青少年室文化振興課の監修により発行しました。市町村における文化の香り高いまちづくりを進める上での参考としてご活用いただければ辛いです。

平成10年3月

財団法人北海道市町村振興協会

理事長深澤信夫

 

 

[発行] 財団法人 北海道市町村振興協会

 


音楽を通して国際交流

くっちゃんJAZZフェスティバル実行委員会(倶知安町)

日本一の豪雪とじゃがいもの里

倶知安町は、四方を羊蹄山とニセコ連峰の山なみに囲まれた農業の町で、日本一の豪雪地帯でもある。人口約17,000人。冬の暮らしを快適に過こすアイデアにより、融雪溝の設置や雪の祭典の実施など克雪から利雪へと意識の改革がまちづくりの原点とも言われている。豊富な雪とニセコの山々により、スキー場が整備され、道内のスキー客ばかりでなく、全国からも多くの観光客が押し寄せている。町の主産物であるじゃがいもは、澱粉質を多く含み、栄養価が高く『倶知安じゃが』として折り紙付きの特産物となっている。

ジヤズが夏の一大イベントに

くっちゃんJAZZフェスティバルは、平成2年12月に倶知安町に住むジャズの愛好家がジャズ音楽を楽しもうと『ウインター・ジャズフェスティバル』を開催したことに始まる。翌年からは、商店主らで実行委員会(委員長白木茂)が組織され、まちおこしの本当のカギは何かという論議を重ねた。フェスティバル自身が国内外から認められる必要がある。そのためには、町外に呼びかけて幅広い交流をつくりだし、人間関係を豊かにするという自前の発想を持ち、名称も『くっちゃんジャズフェスティバル』として、夏も楽しめる倶知安町のイベントとなった。

フェスティバルを盛り上げた「こころの交流」

第3回からは、米国モントレー・ジヤズ・フェスティバル(MJF)高校生ビッグバンドのホームステイがきっかけとなり、米国最大のジャズフェスティバルである、カリフォルニア州MJF実行委員会との提携・交流が始まり、本場のジャズメンの演奏を目の当たりにし、地方都市では味わえない生の迫力は、参加者に大きな感動を与えた。回を重ねることに、来日ジャズメンも錘錘たるメンバーとなり、本場のジャズメンによる町内高校の吹奏楽部へのジャズセミナーやクリニックにより、音楽センスやテクニックが向上した。さらに、町外や道外のバンドの参加も得られ、後志管内のみならず北海道の一大イベントとなっている。

参加型のイベントがまちおこしの渦となる

呼び込みによる鑑賞型のイベントと違い、町内外の青少年に文化の種をまき、育み、目標を持たせ可能性を引き出す、教育かつ参加型のフェスティバルは、行政主導のまちおこしの発想とは異なり、自らのフェスティバルづくりに対する取り組みをさらに大きなまちおこしの渦へと巻き込んでいく。今年も羊蹄山をバックに、熱気にあぷれたアマチュアバンドとプロの絶妙なテタニックが倶知安の真夏の夜を魅了するだろう。

スキー場での開催を

今は、フェスティバル2日間の観客が4,000人程度で、JR倶知安駅裏の野外ステージで開催しているが、今後は10,000人を見込み、比羅夫スキー場での開催により、近隣の町村とも提携をしてしいきたいと、白木さんは考えている。また、悩みは、野外ステージのため、入場者数が天侯により左右され、会場の整理等(誘導、駐車場、ゴミ、トイレなど)に多くの手助けが必要となること。市街地での開催のため、大音響が地域住民に迷惑をかけていること。毎年、仮設ステージの設営に多額の費用を要していること。継続的な支援が必要なこと。規模が大きくなってくると、業者によるプロモートとなり地域での手作りイベントの域を越えしまう恐れがあること。一流ミュージシャンの招聘は、入場料にはね返るため、チケット販売が困難となること、などである。



JマクリーンとF八一バートのステージ

仕掛人白木実行委員長の横顔

フェスティバルの仕掛人白木茂さんは、高校時代からジャズファンで東京でジャズを専門に学び、その後米国で語学の研修をしながら、ジャズを学んだ。帰国後、家業の建設業に従事してもジャズからは離れられず、現在も『ドセ・ベネーノ(甘い毒)』というJAZZバンドを主宰し、自らもピアノを演奏している。よい音楽の生演奏を地元の人たちと一緒に聴きたい。感動を共有することで交流が広がるはずと、フェスティバルに第1,7回と出演し喝采を得ている。ジャスの愛好家がジャズ音楽を楽しもうと始めたイベントが、まちおこしの大きな輪となった。参加した中高生が、本場の迫力やクリニックに感動していることや、英語に関心をもってくれたりしていることが、心の支えとなっている。


年表  プロミュージシャン参加グループ

1回(1990)

ウォルター・ビショップJRトリオ

2回(]991)

ジャッキー・マクリーンクインテット

3回(1992)

ジョン・ヘンダーソンカルテット(M・J・Fとの国際交流開始)

4回(1993)

日・米・豪クラリネットサミット

5回(1994)

メイナード・ファーガソン&ビック・バップ・ヌーポー・バンド

6回(1995)

ビル・ワトラス・オールスターズ、トミー・イマニュエル

7回(1996)

ジャッキー・マクリーン&フレディ・八バートNYスペシャル、ジニー・ブライソンウィズ八一トリオ

8回(1997)

MALTA&フェリーシア、大西順子卜リオ

 

■連絡先 名称くっちゃんJAZZフェスティバル実行委員会

住所 北海道倶知安町南1東2やまだ園内 事務局長 山田理恵

電話0136−23−0201 FAX0136−22−5946 mail/

インターネットホームページhttp://jazzfes.com

grex-net.com